三角筋とは?
三角筋は肩関節を包み込むように位置する、大きな表層筋です。
名前の通り、三角形の形をしており、肩の丸みを形成しています。
解剖学的には、前部・中部・後部に分かれており、それぞれ異なる役割を持ちます。
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起始
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前部:鎖骨の外側1/3
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中部:肩峰
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後部:肩甲棘
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停止
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上腕骨の三角筋粗面
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つまり、鎖骨・肩峰・肩甲骨からスタートし、上腕骨に付着しています。
三角筋の機能
三角筋は、肩関節の主要な運動を担う筋肉です。
各部位の働きを簡単に整理すると、以下のようになります。
部位 | 主な作用 |
---|---|
前部線維 | 肩関節の屈曲、水平内転、内旋 |
中部線維 | 肩関節の外転 |
後部線維 | 肩関節の伸展、水平外転、外旋 |
特に、肩の外転運動は中部線維がメインで働きます。
日常生活で言えば、腕を横に挙げる動作(例:洗濯物を干す)などで大活躍しています。
リハビリテーションへの応用ポイント
三角筋は肩の安定と動作に直結するため、リハビリの中でもとても重要な対象です。
① 損傷・麻痺の影響
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腋窩神経麻痺 → 三角筋の筋力低下、肩外転不可
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腱板損傷後の代償 → 三角筋が過剰に働き、上腕骨頭が上方偏位
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外傷後(骨折・脱臼) → 三角筋の萎縮・拘縮リスク
② リハビリ介入のコツ
- 前部線維は、ベンチプレスや肩屈曲エクササイズで鍛えられる
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中部線維を狙うなら、肩関節を20〜30°外転位で負荷をかけると効率的
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後部線維は、プル系エクササイズやリバースフライで活性化可能
また、肩甲帯全体の協調運動も意識すると、より自然な運動再建につながります。
三角筋を活性化するエクササイズ
三角筋【前部線維】のエクササイズ
■ フロントレイズ(肩屈曲運動)
やり方
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軽いダンベルまたはチューブを使用
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手のひらを内側に向けた状態で腕を前方へ挙上
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肩関節の90°屈曲位まで挙げたら、ゆっくり戻す
ポイント
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上半身を後ろに反らせない(体幹固定)
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反動を使わず、肩前部でしっかりコントロール
応用
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チューブを足に固定して行うと負荷をコントロールしやすい
三角筋【中部線維】のエクササイズ
■ ラテラルレイズ(肩外転運動)
やり方
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軽いダンベルまたはチューブを持つ
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肘を軽く曲げた状態で、腕を身体の側方へ挙げる
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肩関節外転90°付近でキープしてから、ゆっくり戻す
ポイント
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肩をすくめない(僧帽筋上部の代償を防ぐ)
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20〜30°程度前方へ腕を挙げると三角筋中部への刺激が最も入りやすい!
応用
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立位でも座位でもOK、姿勢制御が難しい場合は座位から
三角筋【後部線維】のエクササイズ
■ リバースフライ(肩水平外転運動)
やり方
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軽く股関節を屈曲して上体を前傾
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軽いダンベルまたはチューブを持ち、両手を広げるように開く
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肩甲骨を軽く寄せながら腕を後方に引く
ポイント
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首をすくめない
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肘をやや曲げたまま動かすことで、負荷が逃げにくい
応用
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背もたれ付きのベンチに座って行うと、体幹保持がラクに
三角筋全体のエクササイズ
■ ショルダープレス(全線維の協調運動)
やり方
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ダンベルまたはチューブを肩の高さで構える
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頭上に向かってまっすぐプレスする
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ゆっくりとコントロールしながら戻す
ポイント
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肘が伸びきる直前で止めることで、負荷を三角筋にかけ続けられる
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体幹を安定させて、腰を反らないように注意
まとめ
三角筋は「肩の動きの要」とも言える存在です。
リハビリ場面では、単純な筋力強化だけでなく、腱板・肩甲骨の機能との連携を意識しながら、アプローチを組み立てることが大切です。
特に、運動時の代償動作や痛みの発生パターンに注意を払い、早期から機能的な運動を導入していきましょう!
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