膝関節の運動学、特に「膝蓋骨(パテラ)」に焦点をあてて整理していきます。
膝のリハビリは日常臨床でも本当に多いテーマ。
だからこそ、膝蓋骨の動きまでしっかり理解しておくと、臨床力が一段アップします!
膝関節とは?
膝関節は大きく次の3つで構成されます。
- 大腿脛骨関節(TFJ)
→ 大腿骨と脛骨の間の関節 - 膝蓋大腿関節(PFJ)
→ 膝蓋骨と大腿骨の間の関節 - 脛腓関節(運動学的には補助的)

主な動き
- 屈曲(Flexion)
- 伸展(Extension)
- (わずかに)内旋・外旋(Screw Home Movement)
膝蓋骨(パテラ)の役割と運動
膝蓋骨は単なる「お皿」じゃありません。
主な役割は、
- 大腿四頭筋の力を効率化(モーメントアームを増やす)
- 膝関節の圧力分散
- 滑走補助(屈伸時に関節面をスムーズに滑らせる)
そして、膝関節運動にあわせて、膝蓋骨も独自に動きます。
これを知らないと、膝のリハビリで重要なポイントを見落とすことになります。
【詳細】膝蓋骨の運動パターン
膝の屈伸に伴う膝蓋骨の動きは次の通りです。
膝の状態 | 膝蓋骨の動き |
---|---|
屈曲(曲げる) | 膝蓋骨は下制+内側回旋+わずかに傾斜 |
伸展(伸ばす) | 膝蓋骨は上方移動+外側回旋+正中化 |
【角度別】膝蓋骨の動きと接触ポイント
膝屈曲角度 | 膝蓋骨の接触位置 |
---|---|
0°(伸展位) | ほぼ接触なし or 上端が軽く接触 |
20°~30° | 膝蓋骨下部が接触し始める |
60°~90° | 膝蓋骨中央部が大腿骨滑車面としっかり接触 |
120°以上 | 膝蓋骨上部が大腿骨と接触 |

ここで重要なのは、
- 膝屈曲が深くなるほど、膝蓋骨はしっかり大腿骨と噛み合う
- 浅屈曲では、膝蓋骨が比較的自由に動きやすい
ということです。
臨床でみかける膝蓋骨運動とトラブル
膝蓋骨の異常運動は、臨床でよくみる「膝前面痛(PFPS)」や「膝蓋骨亜脱臼」と深く関わります。
特に注意したいのは、
- 外側偏位(Lateral Tracking)
→ 大腿四頭筋のバランス(外側広筋>内側広筋)で起こりやすい - 膝蓋骨の滑走障害
→ 癒着や拘縮(術後・外傷後)で、滑走不良に
まとめ
膝蓋骨運動を意識することで、
✔️ 大腿四頭筋訓練の質が上がる
✔️ PFPS(膝蓋大腿関節痛症候群)のアプローチが変わる
✔️ 術後リハビリ(例:ACL再建術後)の注意点が深まる
つまり、膝リハビリのクオリティそのものが変わります!
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